手術や検査など医療サービスの費用として保険者から受け取るのが診療報酬です。それぞれの診療ごとに点数は割り振られていて、その点数をもとに金額が決まります。診療報酬というのは、直接的に看護師が関係する場合は少ないですが、職員として看護師も大きな影響を受けます。まず、診療報酬は2年に1回改定が実施され、厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会の答申をもとに厚生労働大臣が決定するのですが、この改定ごとに病院の運営スタイルが変わるという場合があります。そうした際に、例えばそれまでとは違う診療科目に異動することになったり、もしくは人員削減の対象となったりと看護師は影響を受けます。 看護師の職能団体である日本看護協会を中心に、診療報酬における看護師の立場を向上させるという陳情や運動が実施されています。2020年度の改定によって、これまでは範囲外であった特定看護師や訪問介護の診療報酬を中心に改定がおこなわれましたが、日本看護協会などはあくまで看護職員全体の確保や立場向上のために入院基本料の増加を訴えています。この背景には、看護職員の慢性的な人材不足と医師不足からなる業務のタスクシフティングが挙げられます。診療報酬における看護師の役割をもっと拡大させなければ、看護職員の人材不足やタスクシフティングに伴う業務の複雑化に対応できないという判断です。看護師が関わる部分は少ないとはいえ、仕事の負担を軽減するためにも診療報酬の知識は持っておいたほうが良いのかもしれません。